カポーティ「冷血」

冷血 (新潮文庫 赤 95C)
爆笑問題の深夜のラジオ(TBSラジオ火曜深夜1時)を聴いていると、しばしば本の話題に。そこで必ずと言っていいほど太田さんが推薦するのがこの本です。
内容は一家4人皆殺し事件を扱ったノンフィクション・ノベル。事件のあらましと犯人の性格、動機が詳しく述べられます。本の中で精神科医が証言しているように、複数人を殺害する人間の特徴などは古今東西あまり変わりがないものなのかもしれません。被告を取り巻く環境や不安定な精神状態といったような(特殊的、物理的な要因とでも言うのか)。しかし作家がここまで一事件にこだわるのには、犯人個々の性格の中に人間の本質的な一面が表れていると考えているからかもしれません。ただ客観的に描くのではなく、犯人の心理にま踏み込んでいく(会話なども再現している)作者の筆は見事です。