ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟 中巻 下巻」

カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫) カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)
「この物語は第一の小説で、第二の小説もあるのだ。」という冒頭の作者の言葉をすっかり失念してました(巻末の解説を読んで気づいた)。なので主人公アリョーシャの悲劇的な生涯という語りがあったので、ひょっとしてこの事件の犯人あるいは殉教者にアリョーシャがなってしまうのではとドキドキしてしまいました。百年以上前に書かれた作品が現代に通じる問題を論じていることに、人間の進歩のなさを見るか人間の性を見るかは分かれるのかもしれませんが、この作品の偉大さは万人が認めるところでしょう。どの場面もすごいと思いますが、一回目に読んで印象に残ったところを挙げておきます。「イワンが語る大審問官」「ゾシマ長老の生涯の記録」「ミーチャの決定的な瞬間」「少年たちとアリョーシャの出会い」「イワンと悪魔の対話」「弁護人の最終弁論」「アリョーシャの演説」。読了した者の意見としては上巻を乗り越えられれば最後まで一気に読めると思います。