吉田修一「パレード」

パレード (幻冬舎文庫)
吉田修一さんの本がこのところ賞を取ったり書評でもよく見かけるので読んでみました。最後の直輝の章ががぜん読ませます。共同生活を送る男女の心模様が一人一人描かれているわけですが、そこは今日の小説だけあって人間の裏表や心の闇が軽い筆致で書かれています。アパートの一室を舞台にして、現代に漂う不安感、無力感といったものが浮かび上がります。