村上春樹「1973年のピンボール」

1973年のピンボール (講談社文庫)
三部作の一部というわけで、「風の歌を聴け」にも登場した<僕>と<鼠>が登場します。ただ流されるままの生活を送っているように見える登場人物たちですが、それでも内心ではさまざまな葛藤を抱えている様子が描かれます。ピンボールはそんな<僕>の数少ない人生の基盤になったもの。作者自身の思い入れもあるのかピンボールの話が出てくると小説の勢いが格段に増します。