カミュ「異邦人」

異邦人 (新潮文庫)
主人公ムルソーの法廷での達観したようなものの見方が面白い。

「被告席の腰掛の上でさえも、自分についての話を聞くのは、やっぱり興味深いものだ。検事と私の弁護士の弁論の間、大いに私について語られた、恐らく私の犯罪よりも、私自身について語られた、ということができる。」
「しかし、一人の平凡人の長所が、どうして一人の罪人に対しては不利な圧倒的な罪になりうるのか、私にはよく理解しがたかった。」

罪を認めている人間にとって法廷で語られる自分というのはこそばゆいものなのかも。小説の読み方については巻末の解説に載っている、カミュが「異邦人」の英語版に寄せた自序が参考になる、というかすべてでしょう。